木のステアリングホイール
ステアリングホイールの材質
今の車の殆どは、樹脂もしくは革巻のステアリングホイールである。
ステアリングホイールと言うパーツは、運転している中さわっている、最も手に触れるパーツである。
これは当たり前だが、意外と気づいていない人が多いかもしれない。
どんな高級なインパネを使っても、どんな素晴らしいレザーの座面の椅子だったとしても、結局手で触れるのはステアリングホイールである。
それだけに、ステアリングホイールの材質というのは、運転の気分を左右する非常に重要な要素であるといえるのではないか。
私が最初に乗った車は、樹脂のステアリングホイールであった。
これは、夏になって汗をかくと、ツルツルと滑ってしまうものであった。
明らかに、ハンドルさばきに難のあるものであった。
その次の車は、革巻きのステアリングホイールであった。
樹脂→革巻き、となったことで、その素晴らしさをしっかりと知ることが出来た。使用されていたのは安い革であったのは間違いないが、それでも自分の汗でステアリングが滑ることも無く、ステアリングホイールが手に馴染む、という感覚を教えてくれた。
そして、木のステアリングホイール。いわゆるNardiのクラシックタイプである。
これはまた新しい体験であった。かなり分厚くニスが塗ってあり、木の触感というのはほとんど感じられるものではなかった。
冬は冷たく、乾燥するとツルツル滑り、夏は汗をかき、またツルツル滑るのである。
だから扱いにくいかというと、長く使っていると手の脂が少しずつ馴染んで、だんだんと使いやすくなってくるのである。
イメージとしては、ピアノの鍵盤のようなところか。
結局、木のステアリングホイールというものは、廃れてしまっている。
革のステアリングホイールの方が、手っ取り早く、馴染みやすいというのも一つの理由かもしれない。
ただ、長い時間をかけて、少しずつ自分のものにしていく、という工程もまた、自分の車への愛着を育てるものでもあることは、意識してみても良いかもしれない。